セミナーレポート「外国人材採用の未来」


2021年7月7日水曜日、一般社団法人 外国人雇用協議会とリフト株式会社との共催で「外国人材採用の未来」をテーマにしたオンラインセミナーを開催致しました。


フォースバレー・コンシェルジュ株式会社 代表取締役社長の柴崎 洋平氏(外国人雇用協議会理事)、Career Fly株式会社 代表取締役の大野 理恵氏、リフト株式会社代表取締役の杉村 哲人氏(外国人雇用協議会理事)が登壇し、新型コロナウィルス感染拡大によって、アフターコロナで起こり得る問題やその対応策について、その解決方法を成功事例や経験をお話しさせて頂きました。

ご参加頂いた方の満足も高いセミナーとなりましたが、その概略についてレポート致します。

【開催日時】2021年7月7日(水)

【タイトル】「外国人材採用の未来」

【登壇者】
フォースバレー・コンシェルジュ株式会社
代表取締役社長 柴崎 洋平 氏
(外国人雇用協議会 理事 政策部会長)

Career Fly株式会社
代表取締役 大野 理恵 氏

司会 リフト株式会社
代表取締役 杉村 哲人 氏
(外国人雇用協議会 理事)


①国内の留学生動向とアフターコロナの外国人材採用マーケット予測
フォースバレー・コンシェルジュ株式会社 柴崎社長


柴崎氏 : 今日テーマとしては、「激減する留学生問題とコロナ禍の就職活動について」お話させて頂きます。まず、一番大事なことは、世界から人材を受け入れることもそうですが、大切なのは国内にいる留学生です。この留学生がどのように増えて来たのか?直近どうなっているのか?そして、その解決策は?その後で、海外からどうやって受け入れるのか?という流れでお話しさせて頂きます。

柴崎氏 :実は、日本はこの5年~10年で見ると、世界でもっとも外国人労働者を増やしてきました。この外国人労働者カウントに留学生の資格外活動が入るのが少し違和感あるんですが、統計上はそこも含めています。
その中で、留学生の数の推移を2012年から2019年で切り取ってみると2倍に増えています。こんな国他に無いですね。中国なんかも結構増えていますけど、世界でもっとも留学生が増えている国の一つであることは言えます。
ただし、この1年間で見ると、約31万人が、約28万人に減ってしまった。30万人を大きく超えようとしてきたところから、また割ってしまった。
ここから、今後どうなって行くのかということですが、しばらくは激減します。

柴崎氏 :これは在留人数ではなく、新規に日本に入国した外国人留学生の人数です。
当然、新規入国も2015年の10万人弱から、2018年には12万5000人程度まで増えて来ていて、ここが増えていたから当然全体の在留数も増えていたんですが、2019年から2020年を見ると60%以上減少しています。これは、コロナウィルス感染拡大の影響で当たり前ですが、これが今後ボディブローのようにどのように影響して来るかということなんですけど、よく見ると、コロナで減る前から、伸びが止まっていることが分かると思います。
これは、法務省の入管庁統計ですから、カレンダーイヤー(1月から12月)の統計で、2019年の数字はコロナの影響を受けていません。それで、2018年から2019年が減少している。
この理由は、日本への留学熱が冷めたのかというと、実はそうではなく、東南アジアの方は皆、日本へ留学行きたいと言ってくれています。はっきり言うと、日本にアルバイトに行きたい。技能実習で行くよりも、留学生で行ってアルバイトした方が良いということで、留学生が増えて来ていたんですが、ここ数年、日本語学校へのビザが取り難くなったという背景があります。
その為、2019年から新規のビザが取りにくくなっていた所に、コロナで大ダメージということになりました。

柴崎氏 :これを教育機関別に見るとどうなるか。当然ながら日本語学校は、新規入国が多いので、直撃を受けています。去年の4月も入国できなかった。今年の4月も入国出来ていないということで、どんどん減って行く。日本語学校の留学生が減って行くと、2年後の専門学校の入学が激減する。あるいは、大学の学部の2年後の入学数が激減する。そうすると、専門学校は基本的に2年ですから、2年のうちの1年が激減する。大きな影響です。
すると2年後の専門学校の卒業生が減る。また、4年後の大学の卒業生が減る。ということで、この先、卒業生が少ないことの影響は2年後、4年後というスパンでどんどん大きくなって行きます。

柴崎氏 :この解決策ってなんでしょう?ということを2点お話ししますが、まずは、「どうすれば世界から日本への留学生を取り戻せるのでしょうか?」ということですが、これは簡単です。入国制限が終われば自然と留学生は戻ってくると思います。

柴崎氏 :その際に、日本では留学生のアルバイトの魅力が非常に大きいのですが、それだけではダメで、東アジアを中心とした教育水準の高い国から、アルバイト主目的ではなくて、日本で学ぶことを主目的の留学生も増やさなければいけない。その時に大事なのが、入口(入学)と出口(就職)のワンセット、Study and Work in Japanの打ち出しを、日本として、教育機関も含めて打ち出していくことが大切です。今日は細かくお話出来ないんですが、実は、留学してそのまま就職できる国って、先進国で言うとそんなにありません。アメリカに100万人以上留学生いますけども、彼らはトレーニングで1年または3年残れるんですが、それは就職できない分のご褒美というか、「これで許してくれ」というニュアンスで、そのままホワイトカラーのビザが取れるのは、ハーバードとかMITとかのマスターやドクターの方は取れるけど、統計に出てこない位少ない。イギリス、オーストラリア、カナダ等の留学生受け入れ大国も皆一緒です。なぜかというと、新卒っていうタイミングは、一番スキルも低い、経験もない、そういう人にホワイトカラーのビザなんて出さない訳ですよ。でも日本はそうではない、というところをもっと打ち出していきましょうよということです。

柴崎氏 :ホワイトカラーのビザ、所謂日本の、技人国(技術・人文知識・国際業務)と高度専門職に当たるような在留資格で、各国がどれくらい発給しているかを見ています。
これ、留学生だけじゃなく全部含めてです。簡単にですが、一番右からイギリス、日本、アメリカとなりますが、どうですか?日本は、イギリスよりもぶっちぎりで多いんですよ。
アメリカにも追いつきそうでしたけど、何故か2019年にトランプが増やしたんですね。
トランプが増やしたなんて、誰も知らないですよね?ほとんどビザ出さない、移民排斥というイメージがあるじゃないですか。でも、実はオバマさんの時代からずっと減っていたアメリカのH-1Bというホワイトカラーのビザは、トランプの時代にぐっと増えているんですよ。
僕は、2020年には日本がアメリカを抜くと言っていたんだけど、またちょっと差が出てきてしまいました。
コロナで状況はまた変わりますけども、日本人も知らない、こんなにホワイトカラーのビザが取りやすい日本。まだまだ、チャンスがあるということです。
日本の人手不足というのは、日本人だけを見ているからそうなるんで、もっと世界から人を受け入れましょうよということです。


柴崎氏 :もう1つのソリューションは、海外からの直接の就労をもっと増やそうよということです。
このマーケットもコロナ前、ようやく増えて来て、特定技能も出来て、もっともっと広がって行きます。

柴崎氏 :我々は世界中で、コロナ禍でも、日本就職フェアをやっています。
例えば、インド工科大学の学食で、「ジャパンナイト」というフェスティバルをやったら、その学部の8割が登録して、6割が出席しました。一つ一つの学部は人数が少ないですが。それほど、日本の就職に興味が有るんです。
柴崎氏 :でも、「インド工科大学の学生が日本の就職に興味ないでしょう」「アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアに行きたいんじゃないか」と思われる方もいると思います。それは正解です。
でも、前にお見せした通り、彼らはアメリカやイギリスに直接就職なんて道は有りません。
我々は30か国、700大学位で、日本就職のセミナー、フェアを行うんですが、ほとんど欧米の企業とは激突しません。現地採用は激突するんですが、国境を越えての採用は激突しなくて、唯一、このインド工科大学のトップスリーの学校だけしかぶつからないんですね。つまり、インド工科大学のITの天才以外は、他の国の企業は採用なんて来ないんです。だから、日本はチャンスです。先程のビザの問題や、或いは働き方で、国を超えて本社に呼ぼうなんて皆思わないんですね。だから、まだまだ伸ばせるんです。インド工科大学は日本への就職が一番多いんです。我々がどんどん広げています。
インド工科大学も日本に来てくれるんです。なぜか?他の国に比べると、相対的に日本の人気は高いんです。ライバルがあまりいないんです。

柴崎氏 :まだまだアジアから日本に来て頂けます。国の事業や予算も結構そこに付いています。
但し、ここにあるように、日本語が出来る人は基本的には東アジアにしかいないと思って下さい。一部、ベトナム等でも日系の会社があるのでいますが、ほとんどが中国、台湾、韓国です。
なので、日本語ペラペラの人材を期待しないで下さい。
後から、日本語教育をすればいいんです。私がいたSONYも、総合商社もまず半年間語学教育するんです。
ビザの準備をしている間に、優秀な方にまず短期集中で日本語を勉強して貰って、日本語教育が終わった段階で、日本に来て貰いましょう。
我々は色々な国でそういったことをやっていますが、その中でも特にインドに力を入れています。いわゆるインドの労働省的な機関が半分出資しているNSDC(National Skill Development Corporation)という機関と我々提携して、高度人材だけでなく、特定技能も始めて行きます。
これからは、東アジアから、東南アジア、更に南アジアという流れになって行くと思います。


②「海外学生の動向を知る」「日本企業の採用事例を知る」
Career Fly 株式会社 大野社長

大野氏 :今日の私のお話としては、海外の学生がどういう動きをしているのか?例えば、リモートを活用しながら、インターンとしての職業体験をしているんだということを感じて頂いたり、越境でインターン生を受け入れいている企業様がどういう取り組みをしているのかということをお伝えして行きたいと思います。

大野氏 :まず、やはりコロナが始まって、雇用のボーダレス化が加速されたなと感じています。
3つの要素が揃ったということだと思うんですが、
まずは、「価値観の移り変わり」で、「家で仕事が出来るんだ」「時差通勤が出来るんだ」というように一人一人の価値観が変わってきました。
それを後押しするのが、「テクノロジーの発展」です。このテクノロジー無しでは、リモートワークはなかなか成し得なかったと思います。
そして、この二つの要素が揃うことで、「文化慣習の変容」が起こり、雇用のボーダレスが実現して来ています。自宅にいながら、インドにいながら日本の会社の仕事が出来るという、国籍や居住に限らずに雇用が出来る環境や考え方が整ってきました。


大野氏 :その中で、海外の学生はコロナ禍で、どういう状況におかれているのかということを見て行きたいと思います。
まず、アメリカの新卒対象となる大学生ですが、アメリカの企業は、コロナ禍において、新卒の学生を採用する数値というのが、リーマンショック以来の低い数値になっています。
2008年、2009年並みの数値になっていることが分かると思います。

大野氏 :その影響で、昨年(2020年)の秋の採用が、全体の約40%の企業が中心となっています。また、今年のインターンプログラムについても約40%の企業が見直し、または延期となっています。
大野氏 :採用の状況については、専門卒の方がコロナ発生後に採用ニーズが高まっています。2019年から2020年に比較して16%の伸びになっています。これは、人件費を抑えて、できるだけ多くの人数を採用するという企業の意向が反映されています。

大野氏 :続いてインドの状況ですが、インドにはBIG4と言われるIT企業があるんですが、彼らが2021年に新卒として91,000人を採用しようとしているというデータが出ています。この数値は、昨年に比べても微増ということで、アメリカとは対照的に採用を加速させて行こうという企業が多いと言えると思います。


大野氏:また、新卒採用のプロセスとして、インターンプログラムを用いて行うという企業が多くなっています。
そのインターンについても手法が変わってきています。

大野氏 :コロナ禍においては、アメリカもイギリスもインターンプログラムが無くなっているんですが、実施しているAmazon等の大手企業では、インターンをリモートで受け入れるということにしています。

大野氏 :一方で、インドの状況は、コロナ前とコロナ後で、リモートインターンの割合が約倍から3倍になっています。インドについては、交通手段やインフラがまだまだ整っていないので、リモートの方が便利であり、リモート手段が合っている国だと思います。

大野氏 :学生がリモートインターンをどのように感じているのかということなんですが、実際企業に訪問し、インターンすることを期待している学生さんが多かったんですが、リモートに切り替えてもインターンが出来たという風に考えている人たちが多く、リモートという手段についてはポジティブに捉えてくれているというアンケート結果になっています。

大野氏 :インドのVellore工科大学の事例ですが、25社のグローバル企業が、リモートインターンプログラムを実施して、実際に100名の方が就職に成功したという事例が出ています。

大野氏 :実際に、リモートも含めたインターンを検索出来るプラットフォームが数多く出てきていて、学生さん自らが活動してインターンを見つけるという活動を積極的に行っている方も増えています。

大野氏 :こちらは最近SNSでよく見るんですが、ウェルカムキットと言って、企業がインターン生になった方にこういった企業のグッズを送ることで、エンゲージメントが高まり、また、学生の方がSNSにポストすることで、インターンプログラムの周知が進んでいます。
これは、コロナ後に良く行われるようになって来ています。

大野氏 :コロナによって何が変わったのかということだと、インターンプログラムの中に「リモート」というプロセスがあるのかということを気にする学生さんが、6割以上存在しています。
その為、採用する側の企業側でもリモートプロセスの準備して行くことが必須になってくるんではないかと考えています。

大野氏 :実際にこういった学生さんを日本企業は受け入れているのかという事例を説明させて頂きます。
そもそも、こういった海外インターンプログラムにおいて、日本は人気があるのかということなんですが、それはイエスと言えます。日本、特に、東京は人気ランキングの5位に入っています。

大野氏 :では、日本企業のニーズはどうなっているのかというところをご説明すると、横軸にITスキル、縦軸に日本語力に分けて、弊社求人のタイプを見て行くと、勿論一番多いのは、スキルが高くて、日本語力が高いというニーズが求人全体の8割くらいになっています。
その下、スキルは高いんだけど、日本語力はそこまで求めないよという求人が残りの2割程度存在します。

大野氏 :言語力が高いけれども、スキルはまだまだこれからという層や、そのどちらもまだこれからという層をいかにして取り込めるかが採用を考えると重要になってきます。教育投資と言う観点で、例えば、日本人の場合には、ITスキルが無くても育てるよという企業はいるんですが、外国籍人材となるとどうしても省かれてしまうということになるので、ここの層をいかに取り込んでいけるかについては、長期的な課題になってくると思います。

大野氏 :実際にリモートインターンを受け入れている事例としては、DivertaさんというIT企業様で、昨年4名のインドのIT工科大学の学生を2か月間リモートインターンとして受け入れて頂いて、そこから全員が採用内定となっています。ですが、まだインドに皆さんいて仕事をしています。

大野氏 :リモートの難しさは、やはりコミュニケーションの難しさはあったようですが、メンター制度を設けたり、コミュニケーションツールを使ってカバーしていらっしゃいました。

大野氏 :実際に入社をしたJhalakさんという方の感想ですがリモートインターンについては、良さもあり、改善点もあるということでした。とにかく、来日できるようになったら、早く日本に行きたいということでした。

大野氏 :このようなリモートを活用した受入れというところで、企業も工夫をして、また、学生も機会を得て活躍をして下さっています。まだまだ課題も多いと思いますが、取り組まれている企業も増えて来ていますので、こういった新しい取り組みがどんどん増えてくると嬉しいなと思います。


③トークセッション

杉村氏 :それでは、頂いたご質問にお答えする形で、柴崎さん、大野さんにお話しを伺って行きたいと思います。
まず一つ目のご質問で、コロナ後に「海外からの日本への就職希望数」が減るのではないかと言うご懸念ですが、こちらは柴崎さんいかがでしょうか?

柴崎氏 :これは、圧倒的に増えると思います。

杉村氏 :逆に増えると。

柴崎氏 :はい。コロナが理由で減るという要素が一つもない訳ですね。
帰国制限とか、コロナが日本で蔓延しているという状況であれば、日本に行くのはやめておこうという精神的なハードルになる訳ですが、そもそも世界に80億人近く人口がいて、15%が先進国、85%が途上国、新興国に住んでいるという中で、この人の流れ、つまり、一人当たりGDPが低い国から、高い国への流れということで言えば、日本は世界の200数十か国の中の26位なんですね。例えば、ネパールは日本に来る方が増えていますが、一人当たりGDPは日本の40分の1です。月給平均で1万円いかない。なので、日本に行くことの経済的インセンティブがある方が、東南アジア、南アジアの23億人のうち、数億人レベルでいるんですね。
勿論、その人材の誰もが日本を目指すわけではないですが、かなり多くの方々にとって、日本は選択肢の一つになるということです。
また、この質問にもう少し答えると、特定技能、技能実習生の場合は、送り出し機関への費用というのが発生しますが、高度人材であれば送り出しの費用というのは原則掛からないに近いと思って下さい。

杉村氏 :大野さん如何でしょうか?

大野氏 :同じく、増えて行くと思います。ただ、受け入れる側の日本企業や、国を挙げて、増やしていくことが重要だと思います。
実際の採用活動の現場を見ると、日本の企業は、海外の企業に比べて、プロモーションの仕方がまだまだ不得手だと感じます。
そこをより強化して行くということがポイントになってくるのかなと思います。
もう1つは、言語の壁というのがどうしても出てくるんですが、インドの大学等でも日本語プログラムを入れてくれと言う要望が、実際に弊社に対してもあったりします。
インドだと大学の言語を取る際に、一番優先されるのがフランス語、ドイツ語で、その次のチョイスとして、中国語と日本語という感じなんですね。そこにもう少し、日本語って楽しいんだよというようなPRをして行くことが出来れば、日本語を学んでくれる学生さんは増えて行くと思います。

杉村氏 :しっかりとPRをして行けば、増やしていけるということですね。


杉村氏 :では、次のテーマとして、大都市ではない地方の傾向についてということですが、弊社でも外国籍人材のご紹介をする際に、地方の方を首都圏の企業にご紹介するというケースが増えているという実感があるんですが、今後、地方の企業としてはどう考えて行くべきかという点について、柴崎さんは地方自治体でも講演等をされておられると思いますが、如何でしょうか?

柴崎氏 :はい。今、我々も、富山県、栃木県、三重県、奈良県、静岡県といった自治体の公共事業を頂いていて、現地の企業の抱える悩みの解決というのをやっているんですが、このご質問に対しては、人材側の視点よりは、受け入れ側のマーケットの変化というのが大事で、コロナ後には、コロナ前に近い人材不足に直面する業界はたくさん出てきます。
ただ、今日お伝えしたように、留学生の就職はここ数年で1万人から3万人まで増えてい
て、今年度の卒業生までは、ぎりぎりコロナの影響を受けないんですよ。今、毎年31,000から35,000人が留学から就職しているんですが、この中で大学院、学部生、専門学校生と分類すると、専門学校生がどんどん増えているんですね。つまり、今後留学からの就職を増やしていくということは、この専門学校生を採用して行くということになるんですが、企業側が採用を増やしていこうと考える時に大事なことは特定技能での採用なんですね。
今、留学生から就職した方のうち、特定技能の方はデータに出てこない位少ないんです。
しかし、外国人留学生の技人国(技術・人文知識・国際業務)での就職というのは、頭打ちか、ひょっとしたら、来年度、再来年度は減って行く可能性もあります。
ちなみに専門学校の留学生は、毎年40,000人卒業するのに、10,000人しか技人国では就職出来ていません。なので残り75%の方の取り合いということになると思います。特に、大都市圏の宿泊やレストラン関連の仕事が、特定技能で留学生が欲しいということになれば、そちらに流れて行く可能性が高いです。
そもそも、今後コロナの影響で技人国の対象者は減って行きます。すると、当然、技人国の人材は大都市に集中して行く。優先度としては、誰もが大都市で働きたい。特定技能も大都市圏が人気がある。
ところが、内定が取れないので、地方でも喜んでということになる。ということで、先ほどセミナーでお話したように、海外からの直接雇用というものを、より地方の企業様は動かないと行けないと思います。

杉村氏 :ありがとうございます。大野さんいかがでしょうか?今日のテーマであるリモートと言うことになると、大都市か地方ということは関係ないようにも思うのですが。

大野氏 :弊社も東京、大阪という大都市のクライアントさんが中心にはなるんですが、弊社に登録している人材のデータで考えると、国内人材でも東京で働いてみたけど、ガチャガチャした感じだったり、自然が無いということで、地方での就職を検討したいという方々はいらっしゃいます。なので、そういった方々をまず受け入れて欲しいということがあります。
海外にいらっしゃる方は、どのニーズが高いかというと、「まず日本に行きたい」というニーズが第一優先になるんですね。結局、地方の会社かどうかというのはどうでも良くて、感覚的には全体の9割位が日本に行けるのであればそこのこだわりが無いと思います。
なので、地方の企業様にも海外からの採用を戦略的に視野に入れて頂くように提案をしています。

杉村氏 :ありがとうございます。では次のテーマとして、アフターコロナで働き方が変わる中で、外国人社員との関係性で注意点等を伺えればと思いますが、大野さん如何でしょうか?

大野氏 :こちらは、コロナだからというのはあまり関係ないのかなと思っていて、外国人社員の方が辞めてしまう理由で多いのが、お互いに合わなかったというのが多くなってきます。
で、これは日本人とそんなに変わらないと思います。
お互いの歩み寄りが重要で、例えば、ムスリムの方でも厳格な方とそんなに厳しくない方がいたりするので、それを受け入れる企業がしっかりと話をして行くことが出来るかどうかということが重要だと思います。

杉村氏 :柴崎さんいかがでしょうか?

柴崎氏 :外国籍社員って皆言うんですが、これは、1ジャンルではないんですよね。
私は、いつも3つのグループに分かれるよということを言っているんですが、まず、日本よりも給与水準が高い欧米系の方、グループ2は、中国、韓国、台湾、香港の方。この方々は一人当たりGDPで言うと、日本と経済水準や文化的背景が似ているグループ。ここは実はボリュームゾーンです。グループ3が、今日何度も出てきた、インドやネパール等、初任給で言うと、10,000円から30,000円代という方々。先程、大野さんから、8割9割の方は、日本のどこに行くかよりもまずは日本に行くことの方がプライオリティがありますよというお話がありましたが、このグループ3の方はその通りだと思います。
このグループの方は、人事制度がどうとかということに不満を持つことも少ないですが、欧米とか東アジアの方にとっては、人事制度や評価に不満を持たれるケースも多くあったりするので、どういう想いで、どういう地域から来ているのかということで、大きく変ってくると思います。


杉村氏 :ありがとうございます。次のテーマですが、本日は、学校関係者の方に多くご参加頂いていまして、このテーマは越境というよりは国内の留学生に対するお話になると思いますが、こちらについてはいかがでしょうか?

大野氏 :弊社の登録者にも勿論国内の留学生の方もいらっしゃいますが、大学院、大学、IT関係の専門学校という方ですが、クライアントからは、長年日本にいるということで、日本語のコミュニケーション力ということは高く期待されている傾向はあります。

杉村氏 :いわゆる、N1、N2と言った資格なのか、また、非言語のコミュニケーションも踏まえてと言うことでしょうか?

大野氏 :そちらは両方ですね。日本人の学生と同じようなコミュニケーションが出来ることを求められているという認識ですね。そこに、プラスアルファとして、得意分野というか、学校での専攻を見られるということですね。

杉村氏 :ありがとうございます。柴崎さんいかがでしょうか?

柴崎氏 :一番大切なことは、就職シーズンになってから支援をするということではなく、入学時から支援を始めるということです。
例えば、留学生が英語で勉強する大学の学部が増えて来ました。でも、そういった方が就職シーズンになってから、やっぱり日本で就職したいとなっても遅い訳ですね。入学の時から、日本の就職を考える際には日本語の勉強が必要だよと言われていれば、3年間近く準備することが出来ます。
後は、日本の技人国ビザが、世界の中でもこんなに取りやすいんだよということを教えてあげる。せっかく日本に留学したんだから、それを使った方が得だよということを教えてあげることですね。
私は、よく留学生の方に、「友人や、先輩で、アメリカやイギリスやオーストラリアに行っている人がいますか?」という質問をして、更に「じゃあ、就職した人いる?」と言うと、大体が、OPTという1年間のトレーニングプログラムだったりします。それくらい厳しいんですね。
そういったことを踏まえて、入学時から就職のサポートを開始する。
また、母国の就職活動といかに違うのかを説明することも重要です。
日本の就職活動が、世界の就職活動と比べてどこが違うかというと、「全て違う」と言えます。
実力重視の世界に対して、日本では人柄重視、コミュニケーション重視。職種別採用の世界に対して、日本では、会社に就職して貰う。職種別採用増えて来ましたけど、圧倒的に多くの企業が就職というよりも「就社」です。他には、すぐには昇給、昇格しないという部分だったりを、ネガティブではなく、ポジティブに理解をして貰うことが大事です。
実力主義はいいけれども、逆に言えば、一気にクビにされるかもしれない。日本はクビになんてされない。
だからこそ、人生設計も立てられる。
エンジニアであれば、1年後の商品設計だけではなくて、10年後の開発設計も出来る。
その良さを含めて、変わっている点を伝えてあげる。
海外からインターンからの就職がメインだけど、日本の多くの会社はただの企業説明会。その違いが何で起きるのかを早めに理解して貰うことが重要ですね。
ここに当てはまらないのが新興の企業や、IT企業なので、人材がそこを求めるのであれば、早目にそういう企業に誘導してあげるのもいいと思います。
後は、大学の学部生でも特定技能という選択肢も出てくると思います。今までも技人国でホテル業界、外食業界で就職したい人、した人がたくさんいました。
そういう人がこれからは特定技能で就職するケースが増えてくる可能性があります。

杉村氏 :まさに柴崎さんのセミナーでもあったStudy and Work in Japanの打ち出しが重要と言うことですね。

柴崎氏 :アメリカやイギリスやカナダといった国に留学に行く人達に、そういった国では就職で
きないけど、日本では就職出来ますよということを伝えて、日本に誘導して行くことが国策として非常に大事になってくると思います。

杉村氏 :お二人とも貴重なお話を誠にありがとうございました!


本日のセミナーに登壇頂いたお二方は外国人材の採用や、入社後のマネジメントの為のサービスを展開されています。ご関心がおありの方は、是非ご確認下さい。

フォースバレー・コンシェルジュ株式会社
WEBサイト https://www.4th-valley.com/

Career Fly株式会社
WEBサイト https://career-fly.com/

また、本セミナーを主催する外国人雇用協議会では、新規入会希望者を随時募集しております。

外国人雇用協議会では、「日本の言語・文化・ビジネス習慣に通じた質の高い外国人を、日本のビジネス社会で最大限に活用できる環境を整えること」を目的として、最新情報の収集に役立つ各種勉強会や、行政に対する政策提言、外国人材向けの生活支援企画、会員企業のPR支援等、様々な活動を行っております。

▼外国人雇用協議会への入会にご関心のある方は是非こちらをご確認下さい。
https://jaefn.or.jp/information/

▼本セミナーのダイジェストを動画で視聴されたい方はこちらをご覧ください。

PART1. 柴崎氏「国内の留学生動向とアフターコロナの外国人材採用マーケット予測」

PART2. 大野氏「海外学生の動向を知る」「日本企業の採用事例を知る」

PART3. トークセッション

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